作家採用されました。序章を公開します(期間限定)




ゲーマーがパフォーマーになった話(仮)…4分程度で読めます

ゲーマーで、インキャで、コミュ症。

ぼくは、そんな10代だった。友達がいないわけではなかったけれど、たくさんいるとは言い難かった。
完全に心を開けるのは、同じゲーム仲間だった。同族の仲間には特別な安心感があった。ぼくは運動ができず、持病のアトピーもあって外見も悪く、おしゃべりも上手じゃなかったけれど、ゲーム仲間はぼくのことを否定しない。ノリが悪くても、芸能人を知らなくても、多数派の話題についていけなくても大丈夫。その心地よいコミニティに浸かり、ゲームの話題で盛り上がった。ぼくは閉ざされたオタクワールドに安住した10代を過ごした。

そんなぼくが今仕事にしているのは、人前でショーをすることだ。
司会者が声高らかにぼくを紹介する。音楽がかかり、幕が上がる。ステージでスポットライトを浴び、たくさんのお客さんの前に立つ。光を扱い、図形を操り、錯覚感のあるパフォーマンスを次々と展開し、お客さんの心を高揚させてゆく。ショーの最後には、そのイベントの趣旨である「祝50周年」の図柄が、音楽が終わるその瞬間に出現する。お客さんも依頼主も大喜びであれば、これでぼくの出演依頼は成功だ。握手をして帰路につく。

ぼくの出演したYouTube映像は単独で450万回再生され、「ZIP」「世界まる見え」「スッキリ」「笑っていいとも」などにパフォーマーとして出演させて頂いた。(芸能人の方の名前がわからなくて困ったりもした)
国内外から出演依頼が舞い込み、フランスドイツロシア中国・・これまで22ヶ国から招待され出演してきた。
10代の頃のぼくからは、全く想像できない自分を生きている。

ただ、あなたにこの本でこれからお話しするのは、「しょうもない私がこんなことがきっかけで一気に性格変わったよ」というサクセスストーリーではない。
ぼくの根底にあるのは今も昔もオタク気質だ。ハマり、傾倒して、エネルギーを注ぐのが、ゲームだったりパフォーミングアートだったりするだけで、どちらをやっている時もぼくの気質は変わらない。
不思議なことに、その片方は上の世代から否定される。時間の無駄だ、何の役にも立たない、意味がない。
もう片方は賞賛される。努力していますね、頑張ってますね。
いやいや、ちょっと待って欲しい。もちろん褒めてもらえるのは嬉しいけれど、ぼくがあることにエネルギーを注ぐとけなされ、別のことにエネルギーを注ぐと賞賛されるのはどういうことなんだ?

それに、ぼくはゲームをしていた「おかげ」で実績を持つパフォーマーになれたのだ。
ぼくは、ゲーマーだけが知る方法を使ったのだ、ゲームとは一切関係のないパフォーマンス実演というフィールドで。その結果、短期間で大きな成果を上げることができた。これは何もゲームとパフォーマンスに限ったことではなく、あらゆるものについて言える話だ。
詳しい方法は本編で解説するが、「Aの世界の考えをBの世界で活用する」この方法が人生を加速させるものだと信じている。Aの中では常識的な考え方でも、その外では誰も知らない規格外の発想になるからだ。

ゲームとパフォーマンス。
一見すると全く関係なさそうだけれど、ぼくはこの組み合わせでこれまで生きてきた。

小学生のころ、人生で初めてハマったものはパズルゲーム「ぷよぷよ」だった。同じ色をつなげるとと消えるあれだ。クラスでも地域でも敵なしだったけれど、日本大会の結果は残念ながら予選落ちだった。
中学生のころ、次にぼくがハマったのはトレーディングカードゲーム「マジック;ザ・ギャザリング」だった。1万5千種類以上のカードから自分だけの60枚を作り、卓上で攻防する戦略ゲームだ。こちらも日本大会に出るが、結果は予選落ちだった。

そして、次にぼくはパフォーマンスの分野を始めることになる。といっても、最初は人前で演じるなんて考えていなかった。練習すれば今まで出来なかったことができるようになる!という快感が原動力で、ジャグリングを黙々と練習していた。
転機になったのは、学校の給食の時間だった。
クラスメイトが、手をわちゃわちゃするジェスチャーをしながら「できるんでしょ、やってよ」と給食のみかんを3つぼくに手渡した。恥ずかしいなあ、ぼくは半分嫌々、3つのみかんをジャグリングした。うおおおおお、という驚きの声が教室に響いた。歓声なんて浴びたことのなかったぼくは、本当にドキドキした。

このささやかな初ステージを経験して、より一層ハマった。
ハマった結果、日本大会に出た。ジャグリングの日本大会だ。でも、パズルゲームの日本大会に出た時やカードゲームの日本大会に出た時とは、少し状況は違っていた。過去の蓄積があったのだ。「とりあえず大会出る」では成果はあげられないことを、ぼくは身をもって知っていた。

だから考えた。どうしたら勝てるのか?大会まで一日一日と近づくなか、閃いたのは、ぼくにとっては身近なものだった。カードゲームの大会に出る人間なら、ほぼほぼ常識とも言える考え方。「メタゲーム理論」だ。
詳しい内容はこの序章では割愛するが、これはカードゲーマーにとっては常識となる、極めて重要な戦術だ。それを、パフォーマンス実演という、全く別の領域で使ったらどうなるんだ・・?
ゲームの世界では予選落ちが続くぼくだったけれど、今回は、もしかしたら…。

数ヶ月後の日本大会本番。

ぼくは準優勝をした。その後、後述するまた別の理論を取り入れ、別の日本大会で優勝し、日本一となった。その実績を掲げ、ぼくは大学卒業後プロパフォーマーになった。

ゲームにハマったぼくも、ショーの世界にハマったぼくも、好きなことにワクワクしている点では変わらない。暇つぶしでダラダラやってるわけじゃない、かといって高尚なことをやってるとも思わない、自分の心が踊ることに自分の時間と労力と脳味噌をそれに捧げているのだ。対象が何でも同じだ。どれだけ自分がエネルギーを注げるかなのだ。

だから、あなたが好きなことを続けることで誰かから否定されることがあったとしても、ぼくは肯定したい。何かに心血を注いだなら、けなされたとしても賞賛されたとしても、その情熱自体は等しく美しいはずだ。そしてその情熱と経験は、必ず自分の血となり肉となる。それをその後の人生に活かすことができる。

これから実際に、その方法を説明する。
日本大会で2位1位を取ったゲーム×パフォーマンスも、
まだここで触れていない、プロデビュー後大きな成果を出した◯◯◯×パフォーマンスも、
その全てを語ろう。

今まで生きてきたあなたは、絶対に何らかの蓄積があるはずだ、たとえ世間から認められなかったとしても、自信が持てなかったとしても。
それを、あなただけの武器に変えてしまおう。

僕からのお願い。

*出版を辞退することになったので応援募集を削除しました。
ごめんなさい。

プロフィール

パフォーマー 謳歌/Ouka

動くだまし絵”と評されたパフォーマー。
最近は「スッキリ」に出演。
YouTube500万、ブログ記事1200RT、出演22ヶ国。
クラウドファンディングで国際エンタメ公演TrueActを主催。

↓twitter
https://twitter.com/performerouka