謳歌 Ouka(@performerouka)による投稿
マジックソルトコンベンションに行ってきた。
久しぶりに純粋なお客さんとして参加だった。
そこで感じたものは色々あったのだが、最終的には
「ブチギレ」であった。
順番に説明していこう。
まず、コンテストは良かった。
完成度はひとによってばらつきがあったが、
「俺はこれが好きなんだ」という気持ちはどのコンテスタントも伝わってきた。
なかでも個人的に好きだったのは楓さんと石津さんだった。
楓さんはシンプルに現象が強く、低音の使い方や視線も効果的。思わず少し声出ちゃった。
石津さんは楽しく見れて、ほぼ唯一現象以外(設定や情景、人間)でも拍手が起こっていた正に愛される演技だった。
ちゃぶるは頼む成功してくれ〜の気持ちで見ていたのでもはや鑑賞ではなく応援だった、実際ミスなく安心した。
MCも良かった。
一字一句原稿をそのまま読んでます的なものと違って自分の言葉として声を出していたし、かといってカジュアルになり過ぎず、そのあたりのバランスも心地良かった。
それとMC自体じゃないけど、照明さんの客電操作で次の準備できましたキューをMCに送るの頭いい。関西だと一般的なのかな。
レクチャーも良かった。
説明なく「Victimの演技」と言うのは流石に分からない人も多いだろうとか、
進行が早くて理解が追いつかない人もいそうだなとか、
おいおいその元のモチーフになったゲーム面白そうだからタイトルをちゃんと言ってくれ
とは思ったりしたけど、
とても合理的に演技を改善していっているのを追体験できたし、
そこはとてもわかりやすく多くの人が納得して見れたと思う。
ゲストショーも良かった。
クオリティがやはり一段階違う。別格。
「この演目だからこういう流れをします」「この道具はこう扱うものです」
というテンプレート的なものはほぼ皆無で、
それぞれのパフォーマー独自の構成とキャラクター、音照と現象で構成されていた。
菰原くんは糸電話モチーフのパートなど以前からバチバチに進化していたし、
小原さんはノイズのない魔法のような美しい世界観に浸れたし、
黒川くんは現象のおもしろさに加えエンドのカタルシスに高揚して、
鈴木さんはカジュアル目な表現でありながら強めにもキメれるギャップが心地よく、
井上さんはアクトであり完結したショーでもあった。
DTM Generationsは荒さがゴッソリなくなってガチになってた。
ん?
コンテストもMCもレクチャーもゲストもよかったなら、一体何が許せないブチギレなのかって?
ゲストのなかの小原優理さんについてですよ。
あんな素晴らしい逸材が西にいることを俺に今まで教えてくれなかった関西メンバー(向井くん片山くん黒川くん)にブチ切れてるんじゃヴォケェェェェ
俺の好みドストレートじゃねーか!ああ!?
こういうのを世に広めたいと思って動いてたんだよな、とか思いながら
あのクオリティの世界観見てたら普通に見てて泣いちゃったじゃん。
ハンカチ持ってきて。
という話ではない。泣くほど良かったのはホントに本当だけど。うん。
ご存知の方も多いと思うが、私はコロナ禍になって気がつけば本格的にショート動画の人になっていた。TikTok66万人・YouTubeShorts5万人・LINEが1.5万人というフォロワーさんに恵まれ、
いつの間にかショート動画の専門家として
そこそこ日本で偉い立場に就任したり、
そこそこ講師業を営むようになったり、
そこそこ国内外から動画のお仕事を頂いている。
なんだよキプロス共和国から動画の仕事って。
4月あたりは土日は媒体によっては1日に17本投稿する始末である。
アクト創作に対してなかなか時間が取れなくなってきていた。
もちろんご依頼頂いたステージの出演はしっかりやらせて頂いているけれど。
(あくまでここで言っているのは創作活動についてだ)
プロとしてはフリーランスとしては、今求められているお仕事に時間を割くのは当たり前と言えば当たり前だと思う。
それも単なる作業というわけでは決してなく、これはこれで創作活動でありコンテンツでありクリエイティブである。
さて。
正直ステージ主催はビジネスモデル的・時流的にはなかなか厳しい。
客席数は決まってるわ立ち見は消防法で出来ないわ物理移動必須だわコロナ対策費も馬鹿にならないわこのご時世に一年前から会場を抑えてって。
事前に人の予定を押さえて支払いしてもらって物理的に時間場所指定で移動してもらう、
スマホを何時間も切ってもらう。
そして映画上映と違って複製を流すことが出来ず、キャストという代替できない人間が物理的にその場にいないと成り立たない。毎回人件費を払う。
何これ。
でも、そんなステージが好きになってしまったんだよな。
やっぱり、いいなって思ってしまったんだ。
アクトを創作して、ああでもこうでもないと試行錯誤して。
練習して、うまい行かなくて、泣く泣くボツにして。
何年もかけてたった5分のアクトを作り出していく。
そしてそれを演じる機会を作る。
莫大な時間や金銭をかけ準備して、
集客や成否に心が殺されそうになりながらもがいてもがいて、
そして板の上に立つ。
こんなに不合理なのに、煌めくステージのせかいが好きなのだ。
マジックソルトコンベンションを鑑賞して、その気持ちを再確認させてくれた。
携わったみなさんありがとう。
時流や時間を言い訳に、アクト創作や主催から遠ざかっていた今の自分を許せんとブチギレる気持ちが芽生えた、そんな日だった。
ショート動画も、ショーも、どちらもガチって駆け抜けよう。
さ、アクト作るぞ。