舶来寄席の感想・レビュー(動画あり)




パフォーマーの謳歌 Ouka(@performerouka)です。

国際バラエティショー”舶来寄席”
2019年度公演を鑑賞してきました。
今回はその感想をお伝えしたいと思います。

そもそも舶来寄席って?

吉本興業の手がけるパフォーマンス公演。
イメージ的にはお笑いのイメージが強いと思いますが、実は関連してお笑い以外のエンタメもやっているんですよね。

舶来、つまり船で来た・・海外からのエンタメパフォーマンスを日本に集めて行われる公演です。
ジャンルは様々でバラエティに富んだパフォーマンスの数々を一気に堪能できます。
ダンス、アクロバット、マジック、ジャグリングなどなど・・

あんまり詳しく書いていいのか分かりませんが、
日本にビートルズを呼んだり、戦後の日本のエンターテイメントの礎を作った方が携わっている公演です。

そして構成がとても特殊。

前半は吉本新喜劇、後半は海外のパフォーマンスの数々という展開です。
前半と後半ではつながりはなく、それぞれ独立しています。

大きく宣伝されていない前半は前座、悪く言えばオマケなのかな・・・と思われる方もいるかもしれませんが、それは大間違いです。詳しくは次の章で↓

第一部 吉本新喜劇


*今回の内容は画像と異なります

まず最初は吉本新喜劇から。
吉本の芸人さんについて、詳しいわけではないので、
どの方がどうだったと細かくは言えないのですが・・
とりあえずめちゃくちゃ笑ってました。

内容的にはとある旅館で起こるドタバタコメディという感じ。
さすが吉本、お客さんを爆笑でかっさらっていきます。

芸人さんは詳しくないと言っておきながらですが、
辻本茂雄さんには触れないわけにはいきません。

傍若無人でめちゃくちゃするおじいさんの役だったんですが、
もうあれはお笑いの化身でした。
台詞で爆笑をきっちり取りに行くだけでもすごいんだけど、
アドリブも半端じゃない、というか
あれは一体どこからどこまでアドリブだったの・・・?

台本通りの良さとアドリブの良さをハイブリッドしている感じ。
お芝居で決まった通りに進行しているようには全く感じさせません。

まだパフォーマーは出てきてないのに、ここで帰りかねないくらい満足度が高かったです。

マルティネスブラザーズ

舶来寄席パフォーマンスのトップバッター。

コロンビアのサーカスの家系の二男と四男のタッグでのアクロバット。
幼少期から厳しい訓練をしていたガチのサーカス一家だけあって、技術がとんでもない。
兄が弟の身体を蹴り上げ、弟は空中でバク転、そして兄が弟を足でキャッチします。
トップバッターとして最高のパフォーマンス。
吉本新喜劇の爆笑から、興奮へ綺麗に持っていってくれます。

派手でアクロバティックな動きで空中を乱舞し、
お客さんを熱狂させる。
アート的な側面は少ないですが、その分アクロ技とラテンのテンションがスッと入ってきて気持ちよく興奮できます。
最後は連続技のチャレンジでフィニッシュ、50回連続で蹴り上げてバク転。
5回とか10回ならまだしも、50回って・・・

マルティネスブラザーズ紹介動画↓

HARA

個人的にも仲良くさせてもらっているHARAさん。今回のパフォーマーでは唯一の日本人枠。
今回はAmerica’s Got Talentにも出演した「いぶき」という映像とマジックのパフォーマンス。
映像の羽を掴んだらそれが実物の鳩になったり、
鳩が消えて光になったり・・・
短い尺の中で様々な情景を本人の技術と映像美で実現させています。

通常、映像を使ったパフォーマンスは演技者の後ろのカベや幕に映像を映しますが、
HARAさんの場合は映像が演技者よりも前側に映し出されます。
それによってまさしく演技者自体が、映像の世界の中にあるように感じられます。
なかなか見ることのできない貴重なアクト。

HARA America’s Got Talent出演のフル映像↓

ハイパーフック

ドイツの体術マスター3人による、コンテンポラリー(現代的で自由な動きなダンス)寄りのダンスアクロバット。
それぞれが高い身体能力を持ちながら、それを明示するのではなく、
現代的なパフォーミングアート作品の中に体術を使っていました。
現代的とか、コンテンポラリーとか書きましたが、
誤解を恐れずに言ってしまうと「わかりにくい系」です。
わかりにくいこと、つまり答えが明確に用意されてはいないこと、
これはは決して悪ではありません。
鑑賞者によって何を感じ取るか、その人ぞれぞれの感性に委ねられています。

僕は、
・鬱蒼とした森の中
・時間帯はよる
・小雨が降っていて湿度が高い
・そこから抜け出そうとしてるわけではなく、むしろ調和を試みている
こんなイメージを感じ取りました。
みなさんはどうでしょうか?

ハイパーフック紹介映像↓

ハンス・デイヴィス

シャドウマスターとも呼ばれる彼が演じるのは影絵のアクト。
影絵って一般的にはちょっと地味な印象があると思います、僕もそう思っていました。
まさか、影絵であんなにも観客が沸くなんて。
自然と客席から「おおおっ・・・・」って声があがるんです。
「頑張れー」とか「いいぞー」の意味合いの歓声ではなく、本当に驚きによって思わず出てしまう声。
10本の指でそこまで表現できるの?という驚嘆と
映画のパロディなどのユーモアが織り混ざり、ずっと見ていたい感覚になります。

効果音も使って分かりやすく表現していたり、
例えば影絵で「海からサメが出てくる」を見せるシーンでは、
水面のゆらぐような効果音、そして映画ジョーズの鬼気迫るBGM、影絵で表現されるサメの出現と、
「アーティスティックなもの」×「具体的で分かりやすい見せ方」
というのはエンタメのひとつの答えなのかもしれません。

ハンスデイヴィス紹介映像↓

タイ・トージョー

アメリカで育った日系アメリカ人ジャグラー。
僕自身がボールジャグリングをしていたので、やや玄人目線っぽくなっちゃうかもしれませんが・・
彼は「複雑な技」「現代に新たに作られた技」を行いません。
技的にはシンプルで、昔からある技です。
が、信じられないことに、全く違う技にしか見えないんです。
超基本技のカスケード、初期に覚えるチョップやクローキャッチ・・
そういう初歩の技ですら全く次元のものに見えます。
速度が尋常じゃない、キレが半端ない、そして何より音に完全に合わせに行っている。
音に合わせるって、曲調の雰囲気に合ってるとかじゃなく、文字通り曲の中のドラム音などにぴったり合わせて技をやるんです。

そしてどんどん難しい/見栄えのする技を展開するんですが、
難易度が上がってるのに音ハメは全然やめる気配ゼロ。
非常に難易度の高い技も完璧な音ハメでサクサク行います、一体どういうことなの・・?
世界で一番、5ボールのバッククロスが魅力的に見えるアクトでした。
(バッククロス・・・背中の後ろからボールを左右連続で通すジャグリングの投げ方)

タイトージョー紹介動画↓

デュオ・ヴィタリス

ペルーの元キックボクサーが元体操選手とタッグを組んだ2人組み。
サーカス芸のハンドトゥハンドというジャンルでは、文字通りふたりが手と手を繋いだ状態でアクロバットをするんですが、
デュオ・ヴィタリスは頭と頭。
逆さになって頭が下になった人間を、頭に乗っけてバランスを取ります。
70kgくらいのムキムキの男性が頭に乗っかる時点で常人なら死んでますね。

頭と頭以外にもアクロバティックな大勢が多いですが、大勢を変える時にはわりと遅めの動きが多く、そのせいか「人間、そんな体勢に移っていけるの!?」という気持ちにさせられます。
これがパッと瞬時に移行すると、「それできるの!?いけるの!?」という気持ちになる前に完了しちゃいますからね。

今回の舶来寄席では、マルティネスブラザーズもパワー系の演技ですが、軽快と重厚という感じで受ける印象や雰囲気は全くの別もの。
神々しさすら感じる重みのあるパフォーマンスはこの舞台を締めくくるのにふさわしいものと感じました。

デュオヴィタリス紹介動画↓

私、謳歌も出演します

この舞台のエンディングを見ながら、私は思いました。

謳歌
これに自分出させて頂けるのか・・・・

日本人出演者のHARAさんとバトンタッチで最後の3日間(6月23日まで)出演します。
日本人が出るのはかなり異例なことなので、今回キャスティング頂いたことに驚きを隠せません。
全力で板の上に立ってきます。
演目は最新の音符アクト、リングを使った視覚効果を作り出すパフォーマンスです。

ブログ公開遅れちゃって、すでに最初の公演には出演終わったのは内緒

この舶来寄席、自分が出演するからという理由ではなく、自分の出演関係なしに本当におススメの公演です。

パフォーマンス関係に興味がある方はもちろん、
関西方面で

・思い切り笑いたい方
・思い切り笑って、そして興奮や熱狂もしたい方

是非お越しください。
そして今回来れないよという方も、年に1回、主に関西で行われますので次回に是非!

http://the-hakurai.com/

プロフィール

パフォーマー 謳歌/Ouka

動くだまし絵”と評されたパフォーマー。
最近は「スッキリ」に出演。
YouTube500万、ブログ記事1200RT、出演22ヶ国。
クラウドファンディングで国際エンタメ公演TrueActを主催。

↓twitter
https://twitter.com/performerouka