言葉が通じないアフリカでノリで相槌打ったら政治問題になった話




パフォーマーの謳歌(@performerouka)です。

病床に伏せております。
寝ながらスマホで出来ることといえば、TikTokでかわいい女の子を見ることと世間の相場は決まっていますが、私は生産者でありたいと思うので、文章を書こうと思います。
(ただし文章の生産性はゼロです)
(痩せないし、起業の参考にもなりません)

アフリカに飛んだ

アフリカ北部の国、アルジェリア。
私が行った出演依頼先です。

過去には国家非常事態宣言が出たり、
私が行ったら車のナンバープレートが手書きだったり、
エレベーターに壁がなかったり、
なかなかファンキーな国でした。
(っていうか壁ないのは普通に危なくない?)

そんな国において、私は国家問題になりかねない出来事に巻き込まれるのでした。
早速お話ししていきますが、
前提条件があるので先にこれだけお伝えします。

・アルジェリアの言語
植民地時代とかの関係で、フランス語がメインでした。政治家の人は、フランス語に加え英語が通じました。他の人は基本英語は通じず。

・私の言語
外国語は英語のみ。フランス語は無理〜だったんですが、「ジュスイダコー!」だけ習得しました。
意味は、「その通り!」です。
(英語だとI agreeに相当するようです)

以上が話の前提になります。
では本編の事件をどうぞ…

会食にて、事件

今回の私が呼ばれた公演は、政府の行う文化交流事業的なものの一環でした。
我が国民にも国際的で文化的なものを!みたいな感じです。
ちなみにビザの渡航目的は、「文化」という珍しいものでした、かなりレアだと思われます。

アルジェリア国内でステージ出演をこなし、ツアーで各地を回る中、政治家の方と出演者スタッフとで会食をする機会を頂きました。

その政治家さんというのは、それは色黒の中東系でダンディでりりしく立派なヒゲがあり、ビシッとスーツを着ていました。異国の政治家!という感じ。
偉い人度合いで言うと県知事?都知事?のような感じでした。

長テーブルに様々な料理が並び、10名ほどが腰掛ける立派な会食中、政治家さんが私に聞いてきました。

「(英語で)君、この国についてどう感じかな?」

私は答えました。

「(英語で)いや〜、いい国ですよ。楽しんでます。国民のみなさんの前でショーをして、みなさんものすごく反応がエネルギッシュで。パワーを感じます。あと食べ物も珍しいものばかりでおいしいですし」

本音を言うとパンがマジで異常に硬いのだけはちょっとびっくり…サンドイッチはリアルに中身だけでいい…と思ってましたが、もちろんここでそんなことは言いません。
大人ですからね。
場を乱すような傍若無人な発言を会食の場でするわけにはいきません。

さて、私の答えを聞いた政治家さんは、今度はフランス語で周りのメンバーに何かを話しました。
周りのメンバーにはわかり、私にはわからないフランス語です。

政治家さん「(フランス語で)ペラペラペラペラ…」

僕はフランス語は分かりませんが、ノリでうんうん、とうなずきながら、思いました。

ああ、これはきっと。
私が今さっき言ったことを、周りのみんなに理解できるようフランス語に通訳してあげてるんだな。
きっと、遠い極東の島国から来た彼も我が国のことを褒めてくれてるんだ、みたいなことも付け足して言っているんだろう。

あ。

そうだ。

覚えたあのフランス語、言うとしたら、まさに今のなのでは?!

ジュスイダコー。

意味は、「その通り!」

「日本から来た彼もこんな風に我が国を褒めてくれて…食事がおいしいと。」
って政治家さんの発言に対して
「その通り!」
と、フランス語でバシッと言えたら、どんなにかっこいいだろうか。

みんな、私がフランス語は全くできないと思っている。

でも違うんだ。

この切り札があるんだ。

その名もジュスイダコー。

言うとしたら今しかなくない?!

言えばみんな目を輝かせながら「なんだお前フランス語上手いな!てかいい事言うなぁまったく!」なんて反応になるに違いない…

私は、切り札をプレイすることにしました。

脳内はノリノリ、ハッピーお花畑が咲き乱れていました。

決戦

いくらいいことを言うとしても、いきなり相手の話をさえぎるわけにはいかない。
私はとりあえずフランス語の話を理解しているような雰囲気を醸し出していました。

そして、いつ発言をするかを考え、
ニヤニヤワクワクしていました。
どこかフレーズとフレーズの間に、呼吸したり、一回話が区切れるところがあるはずだ。
そこで急に私のターンをぶちこみジュスイダコーを入れるのだ。

まだ…まだか…

相手の今フランス語で話してるのは、「彼はこう褒めてくれた。こうも言ってくれた。こう評価してくれてるんだ…」
という話に間違いないのだ、あとはジュスイダコーを言うタイミング…

シュート1本打つのに31ページ使うスポーツ漫画のように、5〜10秒程度の時間に超速で思考をしていました。

そして、その時はやってきました。

一瞬の間。

いまだ。

俺が知ってるフランス語、ジュスイダコー、この切り札を!!

私は、会食の場でしたがガタッと音を立ててイスから立ち上がりました。

?!??

全員の視線が私に集まりました。

よし…これでフォーカスを集めた…
あとは言うだけだ…

パフォーマーらしく、1秒ほどの絶妙な間を置き、私は満面のドヤ顔で政治家さんに向かって言いました。

「ジュスイダコー!(その通りだ!)」

ほんの刹那の時間のあと。

起こったのは称賛でも驚嘆でもなく、大爆笑でした。

全貌

周りが大爆笑するなか、政治家さんは、悲哀と憤怒と不条理を足して3で割ったような複雑な表情をしていました。

え????なんで????
せっかくいい事言ったっていうのに…

「お前さ、言うタイミング全然違うでw政治家ドン引きやんww」
英語できるメンバーが私教えてくれました。
「お前が「その通りだ!!」って切り込む直前に、政治家さんが何てゆーてたかわかっとるんか?」

「日本人はこんな風に評価してくれてる〜みたいな話じゃないの?だから、その通りだって言ったのに」

「全然ちゃうで」

彼は、私に教えてくれました。
一体、何が起こっていたのか。

政治家さんの発言+私のジュスイダコーは、次のようなものだったのです。

「日本から来た彼は国民のエネルギーや珍しい食事を評価してくれた。ありがたい。だがしかし、我が国は日本のような国と比べると発展途上国であり、改善するべきところがたくさんある。
例えば、犯罪やテロもあるし、衛生面もまだまだだし、経済的にも貧しい・・

「その通りだァ!(ドヤ顔)」

国が国なら何らかの刑に処される・・・までいかなくても聴取くらいされててもおかしくなかったかもしれません。
発言直後はそこそこ問題になりましたが秒速で誤解を解き、大事にならずに済んだのでよかったです。(ポジティブシンキング)
その後はツアー公演を公演開催地の屋根が倒壊したり順長に続け、
帰国前日なって「やっぱり出演料払えない」と言われたけれど、それはまた別のお話し。

めでたしめでたし。

プロフィール

パフォーマー 謳歌/Ouka

動くだまし絵”と評されたパフォーマー。
最近は「スッキリ」に出演。
YouTube500万、ブログ記事1200RT、出演22ヶ国。
クラウドファンディングで国際エンタメ公演TrueActを主催。

↓twitter
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